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犬と猫の膀胱炎。寒くなってくると、トイレが近くなっていませんか?

イベント
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【執筆】
アニマルクリニックまりも 箱崎加奈子先生
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はじめに
だんだんと昼間の時間が短くなり、朝晩の気温が下がってくる季節。こんな風な季節の変わり目、
特に、昨日は半そでの陽気だったのに、急に寒くなって一枚上着を羽織るような時期、
愛犬や愛猫の、トイレの回数が増えてきたりしませんか?それ、膀胱炎のサインかもしれません。
 
どんな症状が出るの?
膀胱炎の最初の症状としては頻尿(トイレに何度も行く)が認められます。
男の子(特に猫)では、陰部を気にしたり、頻繁になめたりすることもあります。
また、いつもはトイレを失敗しないのに、そそうをして違う場所に排尿してしまう、
トイレに長時間こもっている、などのいつもと違う行動がでることもあります。
これらは炎症による残尿感が原因の症状です。炎症が進むと、血尿が出るようになります。
また排尿痛を伴うこともあり、排尿中に変な声で鳴く、ということもあります。
 注意すべきは、トイレにこもったり頻繁に行くのが、残尿感からなのか、
それとも物理的に出なくて出そうとがんばっているのか、を見極める必要があることです。
特に尿石症から膀胱炎が引き起こされている場合、後者の物理的におしっこが出ない状態は、
結石および結晶が尿道に詰まっているということで、場合によっては命にかかわります。
いつもとトイレの様子が違うな、と感じたら、なるべく早く動物病院にかかるようにしましょう。
 
何が原因?猫はストレスでも膀胱炎になります
①細菌性:犬の場合は、主に細菌による感染が炎症の原因になると言われています。
特に女の子は、外とつながる膣から膀胱までの距離が短いため、
皮膚などにいる細菌が体内に侵入しやすく、膀胱炎になりやすいです。

②尿石症:尿結石の素である結晶ができると、膀胱粘膜を傷つけて炎症が起こります。
尿石症は、尿中のミネラル分が、何らかの原因で濃くなりすぎて結晶化して、
排尿トラブルを引き起こす病気です。根本的な原因は体質です。
結晶化には尿の酸性度(pH)の変動が鍵を握っており、食事が大きく関わります。

③ストレス:猫では、主にストレスが原因になることがわかっています。猫にとってのストレスは様々であり、移動や、赤ちゃんや新しいペットなど家族が増えた、気候の変動などがあげられます。また、直接的なストレスではないですが、新しいトイレが気に入らない、トイレが掃除されていなく、汚いから入りたくない、などの心理的要因から排尿の回数が減ることでも、膀胱炎にかかりやすくなります。

④そのほか:高齢の犬や猫の場合は、膀胱にできた腫瘍が刺激となり、
膀胱炎が引き起こされることもあります。
どのような原因でも、尿が濃くなる、あるいは膀胱に尿がたまっている時間が長くなると、
膀胱炎になります。それは、細菌が増えやすくなったり、結晶ができやすくなるからです。
冬場や雨が続くような季節は、飲水量や、活動することで作られる代謝水が減るため、
尿が作られる量が減り、また排泄の間隔も長くなるため、膀胱炎が増える傾向にあります。
特に猫で冬場は注意が必要です。トイレのある場所が寒くてトイレに行きたくなく、
結果膀胱に尿がたまっている時間が長くなって、膀胱炎が起こることもあります。
季節の変わり目、冬になる前など、環境の見直しをしてあげましょう。
 
どんな治療が必要?
細菌が原因でなくても、炎症が原因で二次的に細菌が増えることがあるので、
治療と予防両方の面から抗生剤の服用が必要になります。そのほか、出血をとめ、
炎症を抑えるための止血剤が使われることもあります。抗生剤の服用は、
一般的には2~3週間続ける必要があります。症状が投薬開始直後に良化すると、
薬を辞めてしまうことも多いですが、しっかり最後まで飲み切りましょう。
尿結石が原因である場合は、結石とどう付き合っていくかがポイントになります。
まだ結晶の状態であれば、服薬と食事で溶かすことができます。
結石になってしまった場合、結石の種類によっては食事で溶かすことができます。
溶かせない種類の場合は、犬の症状により対処は変わります。
結石がかなり小さいものであり、膀胱炎の症状が出なければ、
食事管理でこれ以上大きくならないように、注意を払いながら過ごすことができます。
結石がある程度の大きさになってしまい、症状が続く場合は、外科的に取り除くことが必要になります。
 
食事がキーワードです!
膀胱炎の多くは尿石症とかかわりがあります。膀胱炎は尿石症の原因にも結果にもなるからです。
そのため、膀胱炎を繰り返さないためには、食事管理が必須です。
尿を中性~弱酸性に保つために、尿路系疾患の専用の療法食を食べさせるようにしましょう。
前述のように、尿結石の根本の原因は体質です。
そのため、食事を変えたり、あるいは食べないからとトッピングを乗せることで、
尿のバランスが崩れることもあります。メーカーによっては尿路系の療法食にも、
ウェットフードがあります。上手に使えるといいですね。
また近年、猫のストレスを原因とする膀胱炎に対しても、
有益なたんぱく質を含んだ療法食が販売されています。
膀胱炎と診断された場合は、療法食への変更を検討しましょう。
このほか、膀胱炎には、水分摂取も重要になります。
前述のように、一日の尿の産生量が減り、尿のたまる時間や濃度が濃くなるのは避けたいところです。
そのため、なるべく水分を摂取できるよう工夫が必要です。
たとえば、すぐご飯を食べるような犬なら、水をドライフードの食事に混ぜる、
あるいはふやかして食べさせる、療法食のウェットフードを使うなどがあげられます。
猫は、水を飲ませるのは難しいですが、常温の水が好き・流れ出てる水が好き・冷たい水が好き、
など、本人の好みを把握して、なるべく好みに沿う給水方法がとれるように、工夫できるといいですね。
 
まとめ
 膀胱炎は、細菌やストレスなど、さまざまな原因で起こり、
尿が濃くなったり長時間膀胱に溜まっているとかかりやすくなります。
冬場はこの条件が整いやすく、膀胱炎が起こりやすいです。
 また、尿石症と関係が大きく、食事管理や飲水量の管理が重要になります。
愛犬や愛猫に合わせた食事や環境を、整えてあげられるようにしましょう。
 
 
参考文献:スモールアニマル・インターナルメディスン 2ndエディション
 

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