犬と猫の関節炎。急に動かないのは、足腰の関節が痛いのかもしれません。

イベント
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【執筆】
アニマルクリニックまりも 箱崎加奈子先生
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はじめに
 愛犬や愛猫が、昨日まで元気に走り回っていたのに、急に歩き方がおかしい、いつもと行動が違う、ということありませんか?特に、年齢が中年齢以降の場合、関節炎からの痛みが出ているのかもしれません。
 
関節炎は、どんな病気?
 中齢~高齢の犬猫で多い関節炎は、変形性関節症と呼ばれるものがあります。変形性関節症は、ゆっくりと関節の構造が変化していく病気です。年月とともに関節を保護する関節軟骨がすり減り、骨を覆っている滑膜が擦れて炎症が起きるようになります。体が関節を守ろうとするために、周囲の組織が固くなり、このため関節の動きが制限されることもあります。これらは不可逆的な変化なため、関節炎が起こると、根本的には治りません。
犬のほうが病気にかかる割合は多いですが、猫でもかかります。肘・肩・股関節・膝とどこの関節にでも起こりえます。
加齢による変化として起こる場合と、膝蓋骨脱臼や股関節形成不全など、生まれつきもっている病気を原因として、二次的に起こる場合に分けられます。そのほか多くはないですが、感染や免疫異常により起こる場合もあります。
犬ではラブラドール・レトリーバーが、猫ではシャム猫やメインクーンが、遺伝的に関節炎が発症しやすいと言われています。
 
足腰が痛い。症状は?
急性の場合、足をひきずる(跛行)・足を上げていて着かない(挙上)、という症状が見られます。ずっと足を引きずっていることもあれば、一日のうちでも足を普通にしているときもあるけど、気づくとやっぱりかばっている、というパターンもあります。
慢性の場合は、特に猫で、目立った症状が出ないこともありますが、日常の行動の変化がみられるようになります。犬では、散歩に行きたがらなくなる・歩く速度が遅くなる・ソファや階段を上がれなくなる、などがあげられます。猫では、高い場所にジャンプしなくなる・高さのあるトイレで失敗が多くなる、などがあげられます。また、犬でも猫でも、手足を触られるのを極端に嫌がるようになったり、一部をしつこくなめたりしているのは、関節炎による痛みのサインかもしれません。
 
寒さや気圧の変動で痛みがでます
急性の場合は特に、軟骨表面に炎症が起こっていることで痛みがでます。これは、過度の運動で引き起こされることが多いです。犬ではドッグランに行ったり、家族で大きな公園に行って走り回ったりなど、何らかの引き金があることがほとんどです。症状の多くは、運動を行った当日ではなく、翌日から2・3日後に出ます。
また、慢性の場合、気温が低い季節や、台風が近づくような気圧の変化が激しいときに痛みが出ることもあります。これは体が環境の変化に対応しようとして血圧や心拍が上昇し、結果、痛みに対して体が過敏になるせいです。
 
治療法は?安静が重要です。
症状が軽度であれば、2~3日安静にするだけでも、炎症が治まり痛みがとれます。しかし、足を常に引きずるような明らかな症状があるならば、動物病院で抗炎症剤や痛み止めの注射や内服を処方してもらいましょう。
一回の注射では症状が治まりきらないことが多いため、連日の通院か、同成分の内服薬が処方されることが多いです。このさい気を付けなければいけないのは、抗炎症剤は胃腸に負担がかかることがある、ということです。胃薬と一緒に処方されることも多いです。空腹時を避け、なるべくご飯と一緒に服用させるようにしましょう。服用後2・3日で嘔吐が出る場合は、薬を中止し、処方してもらった動物病院に相談するようにしましょう。また、抗炎症剤は種類によっては内臓に負担がかかることもあります。特に高齢の場合は、先に血液検査をして、内臓機能が正常か確認してから薬を使用する場合もあります。
膝蓋骨脱臼など先天的な病気があり、足をかばったり正常なバランスで歩けてないことによる、二次的な関節炎の場合は、根本の病気の外科的治療が勧められます。
慢性的で、痛みが繰り返している場合は、抗炎症剤とは別に、軟骨に対して炎症を抑え込み、修復を促進する力を促進する効果をもつ注射療法が勧められることもあります。
いずれの場合も、自宅で安静にすることが重要です。安静にすることで滑膜の炎症を抑え、効率的に抗炎症剤の吸収を進めることが望めます。
 
普段の暮らしで勧められること
 痛みを繰り返さないためには、普段から関節炎に対するサプリメントを摂ることが勧められます。関節炎に対するサプリメントは、炎症物質を作らせないようにする脂肪酸が入ったものや、軟骨成分を補うコンドロイチンやグルコサミンが含まれたものなどがあげられます。どのサプリメントを選ぶべきか、かかりつけの動物病院で相談してみてください。サプリメントは薬とは違って、即効性があるものではありません。続けてこそ効果が出ますので、愛犬・愛猫が飲みやすいものを選べると良いですね。
また、体重管理も重要です。太りすぎは関節に負担をかけ、軟骨がすり減ることでの炎症を促進します。関節炎がある場合は、体重を増やさないようにしましょう。
このほか、過度な運動は日ごろから避けるべきですが、ほどよい運動で足腰に筋肉が付けば、関節の負担は減ります。リードをつけた散歩や水泳といった、衝撃の少ない短時間の運動が好ましいと言われていますので、試してみてください。
 
まとめ
 関節炎は中齢以上の犬と猫で起こります。急に寒くなったりたくさん運動した後に、足をひきずったりかばったりする行動が見られる場合は、痛みが出ているのかもしれません。
 関節炎の可能性を指摘されたら、サプリメントの服用を検討しましょう。また、適度な運動を心がけるようにしてください。
 
 
参考文献
 小動物外科手術 下巻
 Focus #17.3 関節疾患 2007 
 Focus 特集号 臨床栄養学の進歩
 

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