お家でできる健康チェック
【執筆】
かどのペットクリニック 葛野 莉奈先生
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「お家でできる健康チェック」
お家のワンちゃん・猫ちゃんの性格や、お家の事情、このコロナ渦のせいなどでなかなか病院へ行けなかったり、お困りの飼い主さんも多いのではないでしょうか。
そんなときに、どのタイミングで動物病院へ相談したらいいか、悩んだことはありませんか?
どんな病気も早期発見が大切です。
そのためにはお家の子たちの「いつも」がどんなものなのかを把握し、何か少しでも違うことにいち早く気づけると、治療に関しても選択肢が広がったり、致命的にならずに済むことが多いといえます。
ではどんなことができるか見ていきましょう。
〇体重
まずは一番基本的なものです。
病院へ行くと診察台でさっと計ってもらえることが多いですよね。
ご存じの方も多いかもしれませんが、お家でももちろん計ることができます。
ある程度体重の大きい子になりますが、飼い主さんが抱っこをして、人間の体重計にのり、飼い主さんの体重を引く方法が一番簡単だと思います。
仔犬・子猫ちゃんや体重が1キロ~2キロくらいの小さい子の場合、その方法では正確な体重が出ない可能性もあるので、人間のベビー用もしくはペット用の体重計を使って頂くと、より細かく計測できるでしょう。
動いてしまう場合は、キャリーケースなどに入ってもらってそのまま計測し、ケースの重さを引くことで体重を知ることができます。
体重が増え続けている場合、ごはんの量を調節する必要がありますし、逆に減り続ける場合はごはんの量や質の見直し、そして病気の可能性も出てくるのでご相談頂いた方が良いと思います。
〇排泄
きっとこちらもいつもされている飼い主さんが多いのではないでしょうか。
尿であれば尿の薄さや量など、便であれば便の形状やにおいなどには有意義な情報がたくさん詰まっています。
まず尿は血が混じっていないか、キラキラした砂状のものが混じっていると膀胱炎や尿結晶などの可能性があります。
少量をちょこちょこしたり、トイレに行っても尿が出ていないなどの場合も同様に膀胱炎や尿結晶の可能性があると言えるでしょう。
朝起きた直後の尿が、一番長時間たまっていて濃いはずですが、その尿が薄かったり、毎回大量の排尿の場合は腎疾患なども疑われるようになります。
一方排便では、毎回しっかりとした硬さの便が理想的です。
食べているものにもよりますが、成犬・成猫であれば1日1から2回くらいすることが多いです。
頻回になっている場合、お腹の調子を崩している可能性があり、逆に数日に1度の排便の場合、便秘が疑われます。
軟便や下痢が続くと栄養を吸収できないことや、腹痛による体への負担があるという害があり、便秘の場合は腸に憩室と呼ばれる部屋状の構造ができてしまったり、腸の動きも停滞するため食欲不振に陥る等の害が出てきます。
どちらも健康面に悪影響を与える可能性が高いため、受診をして頂いた方が良いと思います。
〇食欲・飲水量
こちらも健康状態のバロメーターになります。
まず食欲ですが、ペットフードの表記を元に食べきれるくらいの量を目安にして設定し、毎回同じ量を与えるようにします。
毎回きちんと食べきるかどうか、食べきるまでの時間をある程度把握しておき、時間がかかったり残すことが続くようであれば、体調不良が起こっている可能性が高いです。
そして飲水量のチェックも、実は高齢になってきたワンちゃん・猫ちゃんにとても大切です。
飲水量のチェックって!?と思われる方も多いかもしれませんね。
例えば500mlのペットボトル、もしくは容器に決められた量のお水を入れ、大体24時間後にどれだけ減ったかを測れると、1日に飲んだお水の量がわかります。
個体差はありますが、犬であれば大体体重1キロあたり50から60ml、猫であれば大体その半分くらいと言われています。
ウェットフードを食べている子は、フード内に水分が含まれるため少ない傾向があり、興奮しやすかったり、よく動く子は喉が渇いて水をよく飲む傾向があります。
前述の指標となる値を大幅に超えていたり、前よりも水をよく飲むようになった場合、腎疾患や内分泌疾患の可能性が高まります。
その場合、確定するためにも検査が必要となりますので、受診をされた方がいいと思います。
〇呼吸
意外とあまり気にすることがないのが呼吸ではないでしょうか。
呼吸の異常は実は一番命の危険に直結します。
いち早く異常に気付き、処置をしてあげることで苦しいという体への負担を取り去り、延命につなげることが可能でしょう。
とはいえ、興奮や運動などで変動するのが呼吸数です。
そのため一番確認しやすい睡眠時に確認しましょう。
胸の部分、または腹部が上下に動く回数を数えます。
上下の運動で吸って吐いてするという呼吸の1セットになりますので、その1セットが何回あるかを数えてください。
1分間ずっと見ているのが難しかったら20秒間見てその数を3倍にする、または30秒間見てその数を2倍にしてみましょう。
小型の子であれば20回以下、大型の子であれば15回以下が正常な呼吸の目安です。
多いようであれば、何らかの病気または室温が高いなど環境の要因で呼吸がしづらくなっている可能性が高いです。
呼吸しづらい要因として肺の病気(心臓からの影響が出て肺に水がたまると言うこともあります)や、腹部の圧迫、熱中症などが考えられます。
呼吸数が多いようであればできるだけ早めに受診して頂いた方が良いと思います。
また、起きているときでも、運動や興奮した直後だけでなくずっと口を開けて呼吸している場合、危険信号です。
気をつけてみてあげてくださいね。
このように普段からワンちゃん・猫ちゃんが発している体の状態のサインはたくさんあります。
まずはしやすい健康チェックから毎日見ていけると安心です。
ぜひ試してみて、何かおかしいなと感じることがあれば往診やオンライン相談で気軽に相談してみてください。
後悔することのないよう、日々お家の子たちから出るサインに気をつけて、いち早く動けると良いと思います。